第5回環境政策セミナーに出席して

(記)平田

11月24日(水)三重県地方自治研究センターにて「第5回環境政策セミナー」が開催された。

今回はコーデネートしてくれた三重大の児玉教授からKJ法による“ゴミ問題”と“省エネルギー&

自然エネルギー“について参加者から環境政策のテーマを出し合い次回セミナーまでに具体な調査を行いテーマの整理をすることになった。参加者からは「バイオマス」「生ゴミの堆肥化」「マイカー依存の脱却」「ゴミの有料化」「環境保全の啓蒙活動」「リサイクル,リユース,リデユースへの取り組み」「太陽光,風力,水力等の自然エネルギ−の活用」「節電,節約,食事の適正化」「地産・地消の推進」「梱包,包装の簡略&廃止」「パーク・アンド・ライドの活用」等たくさんのテーマが挙げられた。

これらの政策テーマの中で聞きなれない「バイオマス」について概略の内容を記しておく。

1・なぜ,今「バイオマス・ニッポン」が必要か?

  私たち人類はこれまでの大量生産,大量消費,大量廃棄の社会システム中,自然の浄化能力を

  超え、地球温暖化、廃棄物、有害物質等の様々な環境問題を深刻化させている。「バイオマス」と

  は、地球に降り注ぐ太陽のエネルギーを使って、無機物である水と二酸化炭素から、生物が光合成

  によって生成した有機物。即ち私たちのライフサイクルの中で生命と太陽エネルギーがある限り

  持続的に再生可能な資源である。バイオマスを燃焼すること等により放出されるCO2は、生物の

  成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2であることから、バイオマスは、私たちのライ

  フサイクルの中では大気中のCO2を増加させないという「カーボンニュートラル」と呼ばれる

  特性を有している。故にバイオマスとは生物資源(Bio)の量(Mass)を表す概念で「再生

  可能な、生物由来の有機性資源で化石資源(石炭、石油)を除いたもの」である。化石資源は有限

  であるため次世代も引き続き活用できるようにすると共に、温暖化防止上、化石資源の依存を低減

  する意味からも、バイオマスを従来の食料、木材としての利用にとどまらず、新たな観点から、

  エネルギー又は製品としての活用を推進していくことにより、持続的に発展可能な循環型社会を

  目指すこと、これが、今求められている。

2・「バイオマス」産業を進めることにより下記内容が今後期待される

     地球温暖化防止・・京都議定書の締結により、1990年温室効果ガスの排出量に比べ6%の

削減が求められている。何らかの地球温暖化対策を取らねば現状成り行きでは困難な状況である。

     循環型社会の形成に向けて・・持続的に再生可能な資源であるバイオマスは重要な役割を担う。

     競争力のある新たな戦略的産業の育成・・環境保全を図りつつ経済の活性化が図られる社会のモデルを世界に先駆けて提示することにより、ビジネス創出が可能になり、雇用の創出が期待される。

     農林漁業、農山漁村の活性化が期待される・・自然の恵みによりもたらされるバイオマスは豊富であり、また、家畜排泄物、稲わら、林地残材から発生するバイオマスを有効活用することにより農林漁業の自然循環機能を維持増進し食料や木材の供給の役割に加え、エネルギーや工業製品の供給という可能性を与えると共に日本全体の活性化つながることが期待される。

3・「バイオマス」利活用推進に向けての今後の課題

     国民的理解の醸成・・国民各層の協働を盛り上げる為、目に見えるシステムを国民に示し

各地でのモデル的取り組みを国は支援し、イベント等でのモデル展示等を実施していく。

     システム全体の設計・・バイオマスを持続的に利活用していくためには、その生産、収集、

変換、利用の各段階で有機的につながり、全体として経済性がある循環システムの構築を行う。

     地域における創意工夫・・地域の特性、利用方法に応じ地域に即したシステムの構築が必要。

     経済性の向上・・「広く・薄く」存在しているバイオマスをいかに効率良く収集・輸送が課題

     利用需要の創出・拡大・・公的機関の率先的導入、地域の熱供給システム等利用拡大

以上「バイオマス・ニッポン総合戦略」のホームページより抜粋内容を記す。